意外と難しい!?「満20歳に達する日の属する月」とはいつか?

「満20歳に達する日の属する月」っていつ?

養育費請求の事案では、養育費の額としていくら支払うのかの他にも、いつからいつまで支払うのか(養育費の始期と終期)といった点も協議し、協議が整えばその内容を条項にまとめます。

その際、養育費の終期について「子が満20歳に達する日の属する月まで」といった文言を用いることがよくあります。

普段なかなか目にすることのない言い回しですね。すぐに意味を理解するのは難しいかもしれません。ただ具体例で考えればそれほど難しくはありません。

2022年8月14日生まれの子の場合、この子が満20歳に達する日の属する月は2042年8月です。ですから2042年8月分まで養育費の支払いをしなければならないということになります。簡単ですね。

しかし「8月に生まれたんだから満20歳に達する日の属する月も8月でしょ?」と考えてしまいがちですが、注意しなければならない点もあります。それは1日(ついたち)生まれの人の場合です。

「年齢計算ニ関スル法律」

例えば2022年8月1日生まれの子のケースで考えてみましょう。先ほどと同じように、8月生まれなんだから満20歳に達する日の属する月も8月になりそうな気がします。しかし、現在の法律ではそうなっていません。詳しく説明します。

実は人の年齢の数え方については法律に定めがあります。その名も「年齢計算ニ関スル法律」。漢字かな交じりの古めかしい法律ですが定めている内容は単純です。

1項 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
2項 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
3項 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス

条文もこれしかありません。

さて、同法を見ると第1項で「年齢は出生の日より之を起算す」と定めており、年齢は生まれた日からカウントを始めます。

第2項では「民法第143条の規定は年齢の計算に之を準用す」と定めています。では民法143条はどんな条文なのでしょうか。実際に見てみましょう。

民法143条 暦による期間の計算

(暦による期間の計算)
民法第143条
1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

いろいろごちゃごちゃ書いてありますが、今回大事なのは2項の方です。

2項本文では「週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。」と定めています。

以上の条文をもとに、2022年8月1日生まれの人が満20歳になる日はいつかを考えていきましょう。

あてはめ

まず、この人は2022年生まれですから、満20歳になるのは20年後の2042年です。そして、その年の「起算日に応当する日の前日」に満20歳になります。

ここにいう「起算日」とは「年齢計算ニ関スル法律」1項で出生の日(=誕生日)のことですから、「起算日に応当する日の前日」とは2042年の応当する日の前日=誕生日の前日=8月1日の前日=7月31日ということになります。

2042年7月31日が満了した時点(=午後12時になった瞬間)で、この人は満20歳になります。

したがって、この人が「満20歳に達する日」は2042年7月31日であり、「その日が属する月」は7月ということになります。

養育費の払い過ぎに注意

以上から、この人について「子が満20歳に達する日の属する月まで」養育費を支払う旨を定めた場合、2042年7月分まで支払えばよいということになります。

「8月生まれなんだから、満20歳に達する日の属する月も8月のはずだ」と考えて、2042年8月分まで養育費を支払うと1か月分払い過ぎとなりますので、注意が必要です。

8月生まれなのに養育費の支払いは7月が最後となるのは、引っかかる人もいるかもしれませんが、法律の規定通りに解釈するならばこうなります。

4月1日生まれの人が早生まれとなるのはなぜか?

また別の話になりますが、4月1日生まれの人が早生まれとなってしまう理由も同様です。学校教育法17条、学校教育法施行規則第59条をながめながら是非考えてみてください。

学校教育法
第十七条 保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。

学校教育法施行規則
第五十九条 小学校の学年は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。