職場が退職させてくれない!
相談者
30代 男性
相談内容
職場を退職したいと思い上司に退職届を提出したのですが、「今担当している案件が終わってからだ」とか「次の人が見つかるまで待ってほしい」などと言われ、退職届を突き返されてしまいました。
今の職場をやめることはできないのでしょうか。
こうして解決!
退職したいと思って退職届を提出しても、色々な理由をつけて辞めさせてもらえないというケースはよくあります。悪質なケースでは「やめるなら損害賠償請求する」と脅しのような言葉をかけられる場合もあります。
退職の意向を示した労働者に対し退職をさせないように働きかけることを「在職強要」と呼ぶことがあります。
在職強要を受けた場合、どうやって会社を辞めればよいのでしょうか。
いつでも解約の申入れが可能!2週間で雇用契約は終了する!
この相談者の場合、退職の申入れをしても、まだ仕事が終わっていないとか、後任が見つかっていないので見つかるまで待ってほしい等と言われ、ズルズルと雇用関係が続いてしまっていました。
この相談者は「期間の定めのない雇用」でしたので、民法627条1項でいつでも解約の申入れをすることができます。そして解約の申入れから2週間が経過した時点で雇用契約は終了します。
民法第627条1項(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
【略】
今担当している仕事が途中であっても、また後任が見つからなくても退職は可能です。民法の規定通り雇用契約の解約の申入れをしてから2週間経過することによって雇用契約は終了します。その時点で仕事が終わっていなくても、後任が見つかっていなくても結論は変わりません。
職場に退職届を郵送
まず、相談者に退職届を書いてもらい、それと私の書いた通知書をあわせて職場に送付しました。退職届と通知書には「××月××日をもって退職します。」と明記し、退職日は通知が到達するであろう日から2週間以上先の日を記載しています。
「退職届を郵送で提出しても有効なの?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、退職の意思表示が会社に到達した時点で法律上は有効に解約の申入れをしたことになりますので問題ありません。
民法第97条1項(意思表示の効力発生時期等)
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
会社側からは相談者に対してこれまでと同様の引き留め行為や退職を妨害する行為があるかもしれません。
そこで相談者に対しては会社から退職に関する話があっても「すべて弁護士に任せているのでそちらに連絡してほしい」と返答するようにしてもらい、直接会社側とやり取りをしないようにしました。そして、私の方からも会社に連絡し退職に関することは私が対応する旨を伝えました。もちろん通知書にも同様の趣旨のことは記載してあります。
それでも会社側からの引き留め行為がやまない場合には、有給休暇が多少残っていましたのでそれを使用し、できる限り出社しないという手段も考えました。もっともこのケースでは会社側からの引き留め行為はそれほど強くもありませんでしたので、そこまでには至っていません。
相談者とはこまめに連絡を取り問題が生じていないかを確認しつつ、無事退職日を迎え退職することができました。
離職票や社会保険に関する書類等も、会社側と折衝しスムーズに交付してもらっております。
感想と注意点
期間の定めのない雇用契約の場合、いつでも解約の申入れをすることができ、申入れをしてから2週間が経過することで雇用契約は終了します。この点は非常に重要ですので是非覚えておいてください。
会社によっては就業規則等で「退職の申し出は1か月以上前にすること」といった趣旨のことが規定されていることがあります。しかし、この場合であっても法律が優先しますので2週間で退職することができます。
いかにして退職の意思表示を会社に通知するか、その後の2週間をどうやって乗り切るかがポイントとなります。
有期雇用契約の場合には適用される条文が変わってきますので、ここでお話したことが当てはまるわけではありません。ご自身の契約内容をよく確認し専門家に相談しましょう。
当事務所では、今回のような退職代行サービスも提供しておりますので、ぜひお問い合わせください。