解決事例:スマホゲーム課金によってできた借金は免責されるか?
相談者
30代、男性、既婚
相談内容
スマホゲーム課金によってできてしまった借金をどうにかしたい。
解決策
スマホゲーム課金によって借金をしてしまった場合、「浪費」にあたるとして免責が認められない可能性があります(破産法252条1項4号)。
ただし、裁量免責(破産法252条2項)が認められる可能性は十分ありますのであきらめることはありません。
もっとも、「浪費」によって過大な借金を負ったという場合には破産管財事件になる可能性が高いですから、管財費用として約20万円が余分にかかります。
この相談者のケースも、法律相談の際にスマホゲームで課金して借金を作ったというお話を伺った際には、管財事件になる可能性が高いと考えておりました。
もっとも、その後、業者から取引履歴を取り寄せ借金の額を確認したり、依頼者から詳しいお話を伺ったりしていくうちに次の事情が明らかになりました。
・スマホゲームで課金していたのは2年間ほどで今は完全にやめている。
・その間に課金によってできた借金の額は50万円くらい
・その大部分はすでに返済している
・もう少しで返済が終わるというときに仕事を辞めざるをえなくなり、収入が途絶えた
・返済ができなくなり、返済や生活費のため借金を重ねるようになった。
こうした事情を見てみますと、確かにこの依頼者の借金のきっかけはスマホゲームだったのかもしれませんが、借金が膨らんでいったもっとも大きな原因は「仕事を失ったこと」にあります。そしてスマホゲーム課金による借金はすでに大部分を返し終わっているのですから、「浪費」によって「過大な債務」を負ったとはいえないのではないかと考えました。そうであれば管財事件にならず、管財費用の約20万円も準備せずにすむ可能性もあります。
破産申立てを行うと同時に、こうした事情を書面にして裁判所に提出しました。裁判所から若干の指摘はあったものの、無事、同時廃止で手続きを終えることができました。
スマホゲーム課金で借金を作ってしまったという点であきらめるのではなく、事情を丁寧に整理していけば道は開けてくると実感したケースでした。